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スクワット(バーベルスクワット)の正しいフォーム・効果・重量設定

スクワットは「筋トレの王様」「脚トレの王様」と呼ばれ、下半身を中心に全身の筋肉を効率的に鍛える代表的なエクササイズです。ベンチプレスデッドリフトと並んで筋トレBIG3の一角を担い、自重スクワットからバーベルスクワットまで、レベルに応じてアレンジできる万能種目でもあります。

「膝が痛くならない正しいフォームを知りたい」「どのくらいの回数・重量で行えば効果的?」「痩せる効果は本当にある?」といった疑問にお答えします。

スクワットとは?基本概要

スクワットは立った状態からしゃがんで立ち上がる動作を繰り返すエクササイズです。主に大腿四頭筋(太もも前)、大臀筋(お尻)、ハムストリング(太もも後ろ)を鍛える種目として広く知られています。

スクワットとバーベルスクワットの違い

本記事では「スクワット」と「バーベルスクワット」の両方を扱います:

  • 自重スクワット:器具を使わず体重のみで行うスクワット
  • バーベルスクワット:バーベルを肩に担いで負荷を加えたスクワット

どちらも基本的な動作パターンは同じですが、負荷や難易度が異なります。

スクワットで鍛えられる筋肉(効果のある部位)

スクワットは下半身を中心に、実に多くの筋肉を同時に鍛えられる複合種目です。

主働筋(メインで鍛えられる筋肉)

筋肉名場所働き
大腿四頭筋太もも前膝を伸ばす、スクワット動作の主力
大臀筋お尻股関節を伸ばす、立ち上がり動作の主力
ハムストリング太もも後ろ股関節を伸ばす、膝を曲げる

補助筋(サポートする筋肉)

  • 脊柱起立筋:背骨を真っ直ぐ保つ
  • 腹筋群:体幹を安定させる
  • 内転筋:太ももの内側、脚を内側に寄せる
  • 下腿三頭筋:ふくらはぎ、バランスを保つ

スクワットの効果

効果的な筋肥大のためには適切な栄養摂取も重要です。プロテインは筋肉の材料となり、クレアチンは筋力向上をサポートします。また、EAABCAAは疲労回復と筋肥大に効果的です。

スクワットを始める前に、筋トレ初心者の始め方で基本知識を身につけ、筋トレの基本技術で正しいフォームと呼吸法を学ぶことが大切です。

筋力・筋肥大効果

太もも・お尻の筋肉量増加により、基礎代謝の向上と下半身の引き締め効果が期待できます1。大きな筋肉群を使うため、他の種目と比べて筋肥大効果が高いのが特徴です。

ダイエット・減量効果

スクワットの消費カロリーは体重や実施回数によって変わりますが:

体重10回あたりの消費カロリー(目安)
50kg約5kcal
60kg約6kcal
70kg約7kcal
80kg約8kcal

100回行った場合の消費カロリーは体重60kgの人で約60kcalとなります。

日常生活・パフォーマンス向上効果

  • 立ち上がり・階段昇降が楽になる
  • ジャンプ力・走力の向上
  • 姿勢改善効果
  • 骨密度の向上2

正しいフォーム・やり方

自重スクワットの基本フォーム

セットアップ

  1. 立ち位置:足幅は肩幅程度、つま先はやや外向き(15-30度)
  2. 手の位置:胸の前で組む、または前に伸ばす
  3. 姿勢:背筋を真っ直ぐ伸ばし、胸を張る

動作手順

  1. 下降動作

    • 息を吸いながらゆっくりとお尻を後ろに引く
    • 膝とつま先の向きを一致させる
    • 太ももが床と平行になるまでしゃがむ
  2. 上昇動作

    • 息を吐きながら力強く立ち上がる
    • かかとで床を押すイメージ
    • 膝とつま先の向きを保つ

バーベルスクワットの基本フォーム

セットアップ

  1. バーの位置設定

    • ラックの高さを胸の中央程度に調整
    • セーフティバーを設置(大腿部の高さ)
  2. バーの担ぎ方

    • ハイバー:僧帽筋上部(首の付け根付近)
    • ローバー:僧帽筋中部~後部三角筋(肩甲骨の上)
  3. グリップ

    • 手幅は肩幅の1.5倍程度
    • 手のひらでバーを支えるのではなく、背中で支える

動作手順

  1. ラックアウト

    • バーを担いでラックから2-3歩下がる
    • 足幅とつま先の向きを調整
  2. スクワット動作

    • 自重スクワットと同様の動作パターン
    • より体幹の安定性が重要

重量設定・回数・セット数の目安

初心者向けガイドライン

自重スクワット

レベル回数セット数頻度
初心者10-15回2-3セット週2-3回
中級者20-30回3-4セット週3-4回
上級者50回以上4-5セット毎日可能

バーベルスクワット重量目安

初心者の重量設定

  • 男性:体重の0.5-0.8倍からスタート
  • 女性:体重の0.3-0.5倍からスタート

レベル別重量目安(体重比)

レベル男性女性
初心者体重の0.5-0.8倍体重の0.3-0.5倍
中級者体重の1.0-1.5倍体重の0.7-1.0倍
上級者体重の1.5-2.0倍体重の1.0-1.5倍
エリート体重の2.0倍以上体重の1.5倍以上

目的別プログラム

筋力向上目的

  • 重量:1RMの85-95%
  • 回数:1-5回
  • セット数:3-5セット
  • インターバル:3-5分

筋肥大目的

  • 重量:1RMの70-85%
  • 回数:6-12回
  • セット数:3-4セット
  • インターバル:2-3分

筋持久力・ダイエット目的

  • 重量:1RMの50-70%
  • 回数:15-25回
  • セット数:2-4セット
  • インターバル:1-2分

スクワットの種類・バリエーション

基本バリエーション

スタンス別

  1. ナロースクワット

    • 足幅:肩幅より狭く
    • 特徴:大腿四頭筋により効きやすい
  2. ワイドスクワット(スモウスクワット)

    • 足幅:肩幅の1.5-2倍
    • 特徴:内転筋・大臀筋により効きやすい

深さ別

  1. クォータースクワット

    • 深さ:膝が45度程度
    • 特徴:高重量を扱いやすい
  2. ハーフスクワット

    • 深さ:太ももが床と平行の手前
    • 特徴:一般的な深さ
  3. フルスクワット(フルボトム)

    • 深さ:最大可動域まで
    • 特徴:柔軟性が必要、効果が高い

器具別バリエーション

  • ゴブレットスクワット:ダンベルやケトルベルを胸の前で持つ
  • フロントスクワット:バーベルを胸の前で担ぐ
  • オーバーヘッドスクワット:バーベルを頭上で保持
  • ブルガリアンスクワット:片脚を後ろに上げて行う

よくある間違いとフォーム修正

膝の問題

膝が内側に入る(ニーイン)

原因

  • 内転筋の過度な活動
  • 中臀筋の弱さ
  • 足首の柔軟性不足

修正方法

  • つま先と膝の向きを一致させる意識
  • 中臀筋強化エクササイズ
  • 足首のストレッチ

膝がつま先より前に出る

原因

  • お尻を引く意識不足
  • 足首の柔軟性不足

修正方法

  • 椅子に座るようなイメージでお尻を後ろに引く
  • 足首のモビリティ向上

背中・腰の問題

腰が丸まる(バットウィンク)

原因

  • ハムストリングの柔軟性不足
  • 股関節の可動域制限

修正方法

  • ハムストリングのストレッチ
  • 股関節モビリティエクササイズ
  • スクワットの深さを調整

バーベルスクワット特有の問題

バーが痛い・あざができる

解決策

  • バーパッドの使用
  • 担ぐ位置の調整
  • 僧帽筋の発達

バランスを崩す

解決策

  • 軽い重量からスタート
  • 体幹トレーニングの強化
  • セーフティバーの活用

膝が痛い時の対処法

痛みの原因

  1. フォームの問題

    • 膝の向きとつま先の不一致
    • 過度な前傾
  2. 柔軟性の問題

    • 足首・股関節の硬さ
    • ハムストリングの硬さ
  3. 筋力の問題

    • 臀部の筋力不足
    • 体幹の安定性不足

対処法

即座に行うべきこと

  • 痛みがある場合は中止
  • フォームの見直し
  • 重量・回数の調整

予防・改善策

  1. ウォームアップの徹底
  2. ストレッチ・モビリティワーク
  3. 筋力バランスの改善
  4. 専門家への相談

代替エクササイズ

膝に痛みがある場合の代替種目:

  • レッグプレス
  • ランジ
  • 浅いスクワット
  • 椅子を使ったスクワット

ダイエット・減量への効果

なぜスクワットで痩せるのか

  1. 大きな筋肉群の活用

    • 多くのカロリーを消費
    • アフターバーン効果3
  2. 筋肉量の増加

    • 基礎代謝の向上
    • 長期的な体脂肪減少
  3. 全身運動効果

    • 心拍数の上昇
    • 有酸素運動的効果

効果的なダイエット活用法

高回数×低負荷プログラム

  • 回数:20-30回
  • セット数:3-4セット
  • インターバル:30-60秒
  • 頻度:週4-5回

サーキットトレーニング

  1. スクワット × 30秒
  2. 休憩 × 15秒
  3. 他種目 × 30秒
  4. 休憩 × 15秒 (これを8-12ラウンド繰り返し)

毎日やっても大丈夫?頻度について

自重スクワットの場合

毎日実施可能ですが、以下に注意:

  • 筋肉痛がひどい時は休む
  • 回数・強度を調整
  • 疲労の蓄積に注意

バーベルスクワットの場合

週2-3回が推奨

  • 高負荷のため回復時間が必要
  • 中1-2日の休息を挟む
  • オーバートレーニングのリスク回避

効果的な週間プログラム例

初心者向け(週3回)

  • 月曜日:スクワット
  • 水曜日:スクワット
  • 金曜日:スクワット
  • 他の日:休息または軽い有酸素運動

中級者向け(週4回)

  • 月曜日:高重量スクワット
  • 火曜日:自重スクワット(軽負荷)
  • 木曜日:中重量スクワット
  • 土曜日:自重スクワット(高回数)

年齢・性別別のポイント

女性向けのポイント

特に期待できる効果

  • ヒップアップ効果
  • 太ももの引き締め
  • 美脚効果

注意点

  • 「太くなる」心配は不要
  • 適切な負荷で美しいラインを作る
  • 生理周期に合わせた調整

高齢者向けのポイント

安全な実施方法

  • 椅子を使ったサポート
  • 浅い角度からスタート
  • ゆっくりとした動作
  • 転倒防止の環境整備

期待できる効果

  • 下肢筋力の維持・向上
  • 骨密度の改善
  • 日常生活動作の向上
  • 転倒リスクの軽減4

スクワットと他種目の組み合わせ

同日に行う種目

脚トレの王道組み合わせ

  1. スクワット(メイン種目)
  2. レッグプレス(補助種目)
  3. レッグエクステンション(仕上げ種目)
  4. レッグカール(ハムストリング)
  5. ルーマニアンデッドリフト(ハムストリング・臀部)

全身トレーニングでの組み合わせ

  1. スクワット(下半身)
  2. ベンチプレス(胸)
  3. デッドリフト(背中)
  4. ショルダープレス(肩)

週間スケジュールでの組み合わせ

プッシュ・プル・レッグ分割

  • レッグデイ:スクワット + 補助種目
  • プッシュデイ:胸・肩・三頭筋
  • プルデイ:背中・二頭筋

器具・アクセサリー

必須アイテム

バーベルスクワット用

  • パワーラック:安全性確保
  • オリンピックバーベル:20kg
  • プレート:段階的に重量を増やす
  • セーフティバー:事故防止

あると便利なアイテム

  • トレーニングベルト:体幹安定性向上
  • ニースリーブ:膝のサポート・保温
  • リストラップ:手首の安定性
  • バーパッド:肩の痛み軽減

シューズの選び方

理想的な特徴

  • フラットソール:安定性重視
  • ヒールの高さ:0-12mm程度
  • 硬いソール:力の伝達効率向上

おすすめタイプ

  • ウエイトリフティングシューズ
  • コンバースなどのフラットシューズ
  • 裸足(可能な環境であれば)

避けるべきシューズ

  • ランニングシューズ(クッション性が高すぎる)
  • 不安定なソールのシューズ

トラブルシューティング

重量が伸びない時

可能性のある原因

  1. フォームの問題:効率的でない動作
  2. プログラムの問題:適切でない負荷設定
  3. 回復不足:休息・栄養・睡眠の不足
  4. プラトー:身体の適応

対策

  1. フォームの見直し
  2. プログラムの変更
  3. 回復期間の確保
  4. 補助種目の追加

筋肉痛が治らない時

正常な筋肉痛と異常の判断

  • 正常:2-3日で回復、動作時の痛み
  • 異常:1週間以上続く、安静時も痛い

対処法

  • 軽い運動(アクティブリカバリー)
  • 十分な睡眠と栄養
  • ストレッチ・マッサージ
  • 異常な場合は専門家に相談

腰痛が出る時

予防策

  1. 適切なウォームアップ
  2. 体幹トレーニング
  3. 重量の段階的増加
  4. フォームの習得

発生時の対応

  • 即座に中止
  • 軽いストレッチ
  • 必要に応じて医療機関受診

上級者向けテクニック

ポーズスクワット

ボトムポジションで2-3秒静止:

  • 効果:筋力向上、可動域改善
  • 注意点:重量は通常より軽く設定

テンポスクワット

4-2-1-1のテンポ(下降4秒-静止2秒-上昇1秒-頂点1秒):

  • 効果:筋肥大促進、フォーム改善
  • 注意点:かなりきつい、回数を少なく

ボックススクワット

後ろに置いたボックスに軽く座ってから立ち上がる:

  • 効果:深さの一定化、爆発的パワー向上
  • 注意点:ボックスの高さ設定が重要

関連記事

脚トレーニングの学習フロー

脚トレの王様であるスクワットを中心とした体系的な学習フローをご紹介します。

STEP1:基礎種目の習得(複合種目)

**スクワット(本記事)**は「筋トレの王様」と呼ばれる下半身トレーニングの基本中の基本で、BIG3の一つです。すべての脚トレーニングの基礎となる最重要種目として、まずマスターしましょう。

**レッグプレス**はスクワットと並ぶ安全性の高い複合種目で、スクワットのフォーム習得が難しい初心者や、高重量で脚を追い込みたい場合の代替・補助種目として最適です。

STEP2:応用・発展種目への展開

**ハックスクワット**はマシンを使用したスクワットバリエーションで、スクワットよりも安全に高重量を扱えます。スクワットに慣れた中級者以上におすすめです。

**ブルガリアンスクワット**は片脚スクワットとして、左右のバランスを整え、より深い可動域でトレーニングできます。スクワットのフォームを習得した後の高強度種目として挑戦してください。

STEP3:部位別の強化(単関節種目)

前部強化(大腿四頭筋): **レッグエクステンション**は大腿四頭筋を集中的に鍛える種目で、スクワット系種目の後に行うことで大腿四頭筋を完全に追い込めます。

後部強化(ハムストリング): **レッグカール**はハムストリングを集中的に鍛える種目で、スクワット系種目と組み合わせることで前後のバランスが取れた脚トレが実現できます。

下腿強化(ふくらはぎ): **カーフレイズ**はふくらはぎを鍛える種目で、脚トレーニングの仕上げとして下半身全体をバランスよく完成させます。

推奨トレーニング順序

  1. メイン:スクワット(高重量・全身性重視)
  2. 補助:レッグプレスまたはハックスクワット(追い込み)
  3. 片脚:ブルガリアンスクワット(バランス・可動域拡大)
  4. 前部:レッグエクステンション(大腿四頭筋仕上げ)
  5. 後部:レッグカール(ハムストリング強化)
  6. 下腿:カーフレイズ(ふくらはぎ完成)

筋トレの基本・計画

サプリメント・栄養

よくある質問(FAQ)

Q: スクワットで脚が太くなりませんか?

A: 適切な負荷であれば、むしろ引き締まります。筋肉が太くなるには相当な高負荷と専用の栄養管理が必要です。一般的なトレーニングでは筋肉の張りと引き締め効果が得られます。

Q: 膝がつま先より前に出てはいけませんか?

A: 絶対にダメというわけではありません。個人の骨格や柔軟性によって適切な形は異なります。重要なのは膝とつま先の向きを揃えることと、痛みがないことです。

Q: どのくらいで効果が現れますか?

A: 筋力向上は2-4週間、見た目の変化は6-8週間程度が目安です。ただし、個人差があり、トレーニング頻度や栄養状態によって変わります。

Q: 毎日100回やれば痩せますか?

A: 毎日100回は過度な負荷の可能性があります。ダイエット効果は運動だけでなく食事管理も重要です。適切な回数・頻度で継続することが大切です。

Q: バーベルスクワットはいつから始めるべきですか?

A: 自重スクワットを正しいフォームで30回以上連続でできるようになってからが目安です。急がず段階的にレベルアップしましょう。

Q: スクワットだけで脚の筋肉は十分鍛えられますか?

A: スクワットは優秀な種目ですが、バランスの取れた脚の発達には補助種目も必要です。レッグカールでハムストリング、カーフレイズでふくらはぎも鍛えることをおすすめします。

まとめ

スクワットは「筋トレの王様」と呼ばれるだけあって、下半身の筋力向上、ダイエット効果、日常生活の質向上など、多方面にわたって恩恵をもたらす優秀なエクササイズです。

成功のポイント

  1. 正しいフォームの習得が最優先
  2. 段階的な負荷増加で安全に成長
  3. 適切な頻度・回数で継続
  4. 個人の体力・柔軟性に合わせた調整
  5. 痛みがある時は無理をしない

自重スクワットからスタートし、慣れてきたらバーベルスクワットにチャレンジ。継続することで、必ず効果を実感できるはずです。

正しい知識と適切な実践で、スクワットを味方につけて理想の身体作りを進めていきましょう!

栄養面のサポートとして、バルクアップ期ではローファットダイエットの逆で十分なカロリー摂取を、カット期ではローファットダイエットケトジェニックダイエットで体脂肪を落としながら筋肉を維持しましょう。

高タンパク質の食材やレシピについては鶏胸肉レシピ集プロテインレシピ集、そして低脂質で高タンパク質な鶏胸肉マグロサーモンも参考にしてください。


脚注
  1. Resistance training for muscular strength in adults - WHO

  2. Effects of resistance exercise on bone health - PubMed

  3. Exercise-induced excess post-exercise oxygen consumption - Journal of Sports Medicine

  4. Exercise for preventing falls in older adults - Cochrane Reviews